昨日は深沢七郎さんの命日だったんですね。
暑い時に死んだんだ、と改めて思います。
心臓が弱かったみたいですし。
しかし、この人はどうにもとらえどころがないというか、
皆さんもそう思っているでしょうけれど、
作家とか、文豪とか、そんなんじゃないんだよなあ。
ミュージシャンでもあったし、
甘味処の店主でもあったわけですし、
最後は農場ですから。
その辺の「文豪」なんて人たちの書いたものなぞ
叩き潰すくらいの小説が三、四作あったりしますが、
そういう人じゃない。
たぶん、体力があまりない人だったんだろう、
というくらいですかね、なんとなくイメージできるのは。
あと、机に向かって原稿書いたりするの、
面倒だったんだろうな、とか。
文章の繰り返しが妙に好きで、そこに美学があったのかも、
とか。
旅日記の類の小文も面白くて、
今でも何度も繰り返し読めるものですね。
個人的に、日本的な湿ったものが昔からすごく苦手なんですが、
深沢さんはモチーフとしてそういう日本的な土着を扱って
ますが、硬いんですよね。
ぜんぜん違うんです。
というか、日本的な土着って、そもそも湿ってないんだな、
ということに気づかされる、というか、
自分の見立ての甘さを感じるといった方がいいのか。
「みちのくの人形たち」とか、
ときどき日和ったもの書いちゃったりして
その辺が逆にチャーミングだったりしますが。
あれは、「話らしい話」を書きたかったんでしょうね、
無理しなくていいのに(笑)。
今日のBGMは深沢さんとは関係ないですが、
アルゼンチンのホルヘ・ロペス・ルイスの70年代のレコード。
この人も四枚くらい、壮絶な名作を残してますが、
その中でも、わりとよく聴くやつです。